FXを数学を使って検証してみます。
検証は個人的に行ったものであり、検証間違いがあるかもしれません。
数学的な検証と実際は違うという意見もあります。
それは確かですが、数学的な考え方も知っておくと良いでしょう。
カジノでのルーレットの検証
カジノのルーレットは赤か黒に賭けます。
赤か黒に賭けて当たれば賭け金は倍になります。
赤か黒になる確率がそれぞれ0.5であるとすると、
賭けた金額に対して期待する受け取り金額が同額になります。
しかし、ルーレットには緑になる確率がわずかであるが存在します。
これにより赤か黒になる確率がそれぞれ0.5よりやや小さくなります。
このとき賭けた金額に対して期待する受け取り金額は少なくなります。
このルールでルーレットを公正に行った場合、
賭ける回数を増やせば増やすほど元の資金が少しづつ減っていきます。
FXには手数料という概念が存在します。
よって、売り買いの条件、決済の利益損失の条件を均等にしようとした場合、
確実に手数料のぶんだけ損をすることになります。
売りか買いかをコイントスで決め、利益か損益が1000円になったらやめる。
こういったルールでFXを行うと確実に元金は減っていくでしょう。
マーチンゲール法の検証
マーチンゲール法は絶対に勝てるように見える方法として有名です。
マーチンゲール法はうまくいかないことが立証されています。
以下のようなシミュレーションを行ってみました。
ルール
確率0.5で勝てば掛け金が倍、負ければ没収の賭けを行う。
賭け金は100円から始め、負ければ倍に増やし、勝てば100円に戻す。
ルールに従った掛け金が用意できなかった場合に終了とする。
結果
100000円で始めるとだいたい4000回目で10回程度の連敗が発生して終了。
1000000円で始めるとだいたい40000回目で13回程度の連敗が発生して終了。
マーチンゲール法はいずれ破綻して終了することがわかります。
ランダムウォークの検証
0.5の確率でそれぞれ+1、-1する場合の動きをランダムウォークと呼びます。
ランダムウォークの平均値は0に近い値で回数を増やすほど0に収束します。
為替の動きをランダムウォークと見立てた場合に、
手数料がなければチャートの上下は平均の0に収束するように見えます。
しかし、実際にはランダムウォークは回数が増えるほど分散が増加します。
ランダムウォークに従うとしても、元資金は有限なので限度を超えたときに破産します。
ルール
確率0.5で勝てば1銭をもらえる、負ければ1銭を失う。
結果
10回 分散 3 中央値からのズレの最大値の平均 3.5
100回 分散 10 中央値からのズレの最大値の平均 12
1000回 分散 30 中央値からのズレの最大値の平均 40
10000回 分散 100 中央値からのズレの最大値の平均 125
回数の2乗根が分散になると予想できる。
為替が1分間に半分の確率で上に1銭、下に1銭動くと仮定した相場において、
スタートから10分で動いた変化量は、100分後には3倍くらいに広がると想定できます。
カジノでのブラックジャックの検証
カジノのルーレットは確率的にやればやるほど損をすることがわかっています。
ルーレットで儲けるなら勝っている状態で早めに勝ち逃げするのが良い方法です。
やればやるほど中央が負けに寄っていくランダムウォークになりますので、
分散が広がって資金が尽きる前に勝っている状況ならそこでやめることです。
一方、ブラックジャックはルーレットとは違い運任せではありません。
なぜなら掛け金やカードを引く行為を場合によって変えられるからです。
すでに見えているカードから見えていないカードが何枚残っているか推測できます。
よって、今後出てくるカードの確率によって勝つ確率を上げられます。
確率によって賭け金よりも期待する受け取り金額が増えるという条件が整えば、
そのときに賭け金を多くして元金を増やせます。
場面を読んで掛け金を変える戦略はブラックジャックでは有効だとわかっています。
場が良ければ賭けて、悪ければ賭けないというのは有効な戦略です。
ケリーの公式の検証
ケリーの公式は有利な条件での賭けが行える場合に、
賭け金を資産の何パーセントにするべきかを計算するための公式です。
ケリーの公式のメリットは複利を利用した元金の増加が見込めること、
加えて元金が無くならないようにうまく調整されているところです。
勝つ確率がわかっているのであれば、
ケリーの公式を使って利益を最大化できるかもしれません。
ルール
確率pで勝てば掛け金が倍(b=2)、負ければ没収の賭けを行う。
賭け金はそのときの資金からケリーの公式r=(p*b-1)/(b-1)により設定する。
例えば、p=0.6、b=2であればr=0.2なので資金の20%を賭け金とする。
rが0以下になる場合は、残念ながら有利な賭けとはいえず不成立です。
100回の施行で100000円がいくらに増えるかを検証しました。
結果
p=0.51のとき +4000円
p=0.52のとき +16000円
p=0.53のとき +42000円
p=0.60のとき +480000円
p=0.70のとき +480000000円
FXでのケリーの公式の応用
まず、FXを勝てばX円もらえ、負ければY円失う賭けに設計します。
例えば、スプレッドが0.2でドル円を買うとき、
0.102上昇で利確、0.98下落で損切りするようにします。
これでX=Yとなる賭け、つまり勝てば2倍もらえる賭けができあがります。
ドル円なら1万通貨単位で勝つと1000円が2000円、負ければ0円になる賭けです。
次に、少なくとも51%以上勝てるのであればp=0.51に設定します。
すると、資金の2%を掛け金にすることになりますので、
資金が1000000円あれば20000円を掛け金にしますので20万通貨単位を買います。
勝ったか負けたかで資金は変動しますのでケリーの公式での計算は毎回行います。
ケリーの式を使えば複利で増えて、資産がマイナスになることはありません。
この方法の弱点は「少なくとも51%以上勝てるのであれば」が不確実なところ。
また、確実であっても負け続けることはあり、負けに精神が耐えられるか。
掛け金が高額になるため、掛け金を式で求めた半額にするハーフケリーなど、
掛け金を調整するような考え方もあります。
最後に、個人的にはケリーの公式のような方法はお勧めしません。
上の例では20万通貨を1回で使うような場面がありますが、高すぎます。
資金が1000000円あっても1回で1万~2万通貨単位が妥当な気がします。